『そんなことで怒んないよ。』

『そっか今日さぁ、寄り道して帰ろっか?』



あまりに予想外の内容だったからか、俺は自然と彼女の顔を見てしまった。



俺の驚いた顔とは裏腹に、彼女はニッコリ笑っていた。


『寄り道って何処に?』

『ヒミツ。あたしに着いて来たらわかるから。』



それから俺は何回か聞いてみたが、彼女は教えてくれなかった。


ただ『ヒミツ』としか書かなかった。








授業が終わって、俺は早速帰る準備を始めた。


自転車置き場で待ち合わせだったよな?


寄り道ってヒミツにするぐらいだから、何か夜景のキレイな場所とか?



俺はそんなことを考えながえていたから先生の話しなど全く聞いていなかった。


ようやく先生の話しが終わったのか、周りの奴らが次々と立って教室を出ていく。


俺も立ち上がり、机の横に掛けていたカバンを手に取った。




「黒川ぁ!何帰ろうとしてんねん!」


教室を出ようとすると、教卓にいた担任に引き止められた。



「何すか?俺急いでるんすけど。」

「アホか、さっきプリント整理手伝えって言ったやろ。」

「えっ?」