午後の授業は英語。


先生が来る前に俺は準備をしようとカバンを開いた。



あっ、やべ。


机の上に教科書おきっぱで忘れてきた。


俺は少し戸惑いながらも綾咲に話し掛けた。




「あのさ…教科書見せてもらっていい?家に忘れてちゃってさぁ。もうチャイム鳴るから今から借りに行けないし。」

「うん。わかった。」



彼女は俺の机に自分の机をくっ付けて、真ん中に教科書を開いた。




チャイムが鳴る。



先生が入ってくる。



俺は英語が苦手で、黒板に書かれるアルファベットをただひたすら目で追っていた。


授業って長いな。


っつか黒板消すなよ!


まだ写してるって!



俺が必死にノートに写していると、コンコンッと隣から小さな音が聞こえた。


『今日も送ってくれるんだよね?』



チラッと横目で見ると、彼女のノートの端にそう書かれていた。



すかさず俺も自分のノートの端に、彼女に見えるように少し丁寧な字で返事を書いた。


『当たり前だろ。』


『良かった』




彼女の返事は早かった。



ご丁寧に文の最後に絵文字まで付いていた。


『さっきあたしが黙ってたから、怒ったかなと思って。』