言わせない。



聞かせてたまるか。



その一言は俺が先に言うんだよっ!



綾咲のことが好き?



俺の方がその気持ちはずっと大きい。



突き放されてって食らい付いてやる!



いくら拒絶されたって追いかけてやる!



こんな奴に大事な綾咲は渡せない。



渡さない!







一心不乱に彼女の腕を掴んでその場から離れた。






後ろから高島と彼女の声が聞こえた。







そんなの無視してやった。







今はただ





彼女を





高島の側から離れさせたかった。







「……くんっ!弘くんってばっ!!」






意識がはっきりした時には、どこを走っていたのかさえ覚えていなかった。





「はなしてよっ!あたし戻らなきゃ。」







行かないでほしい。



あんな奴の隣に。



俺の隣に居てほしい。









「はなさない。綾咲……俺、お前のことが好きだ。あんな奴のとこなんて行くなよ。」







彼女が俺を見つめる大きな瞳に、吸い込まれそうな気がした。





当然のように彼女は黙り込んだ。