些細なことなのに、何故か心が傷んだ。






「一緒に日直の奴は?高島だっけ?」

「うん。今職員室に行ってる。で、何?」





俺はじっと彼女を見た。





視線を感じたのか、彼女もこっちを見たがすぐに目を反らした。








「今日一緒に帰ろう。ちゃんと話したいから。」

「話すこと、無いと思うけど。」

「俺は聞きたいこといっぱいあるから。」






お互い黙り込んで、彼女が日誌を書くシャープペンシルの音だけが教室中に響いた。











ガラッ






突然扉が開いて高島が入ってきた。








「黒川?何か用?忘れ物?」






俺は返事をしなかった。



コイツにとって俺は邪魔だって知ってたから。



高島は前に彼女のことを好きだと話していた。







「行こう。」




そう言って、俺は彼女の腕を無理矢理掴んで教室を走って出た。








「ちょっと!待って!やめてよっ!」






横目でチラッと見た高島は、口を開けて俺たちをボーッと見ていた。









三階の教室からしばらく走って、下駄箱で彼女が俺の手を振り払った。