会場にいる誰もが、気に留めないふりをしつつ、2人に注目しているのがわかった。

それはそうだ、東を統治するオルテカ国の第一王子と、北を統治するノスタルア国の第一王子が鉢合わせているのだ。

注目するなと言う方が無理がある。

「それに聞いたよ?いつの間にか僕に内緒でこんなに可愛らしい花嫁を見つけたんだって…?」

…!?!?

その瞬間、会場がどよめいた。

「え…!?やっぱり、あの御令嬢…」

「噂は本当だったのですね…」

今日の最後に発表する予定だった2人の婚約をまさか先にバラすなんて…。

マナー違反にも程がある。

恐る恐るルイを見ると。

「…先に発表して頂けるとは…ユージスも粋なことをする」

ルイがククッと黒い笑みを浮かべているのが見えてカローナは肝が冷えた。

「友人のユージスに、発表してもらえるとは私も幸せ者だな。お集まりの皆様、今、彼が発言した通り、今日のパーティは、私共の結婚発表を行うために催されました…。彼女が私の妻になるカローナ・ローリンス嬢。サーフィア国の第一王女だ」