「……」
前に立つルイの表情を見れば、振り返らなくても誰だかわかった。
緊張した面持ちでカローナが振り返ると。
そこには予想した通り、ノスタルア国第一王子、ユージスの姿があった。
さっきといい、今回といいよほど私にちょっかいをかけて遊ぶのが面白いと見た。
カローナはそんな思いに駆られつつ、
「申し訳ありません、ユージス様。2曲目もこのままルイと踊りますので…」
と、軽く彼をあしらう。
「おやおや。これはまた手厳しい…。すっかり嫌われてしまったみたいだ。なぁ、ルイ?」
「ユージス…」
チラリと視線をルイに向けると、少しだけ嫌そうに表情を歪める彼の姿が目に入ってきた。
「そんなに嫌そうな顔するなよ。僕は久しぶりに会えて喜んでるのにさ」
そう言って、私達の方に近づいてくるユージスは、楽しげに微笑んでいる。