瞬間、反応を示したルイはジッとカローナの姿を見据えてハァ…と、ため息をこぼした。

…な!人の顔を見てため息だなんて。


失礼な態度に思わず文句を言いそうになるもどうにか堪えたカローナは小さく息を吐く。

すると。

「カローナこそ、俺に話しておくことあるんじゃないの?」

「え?」

突然、ルイから出た予想外の言葉にカローナは目を見開いた。

話しておくこと?

「別に…何か特別はないけど…」

考えてみるも、思いつかない彼女はポカンとした表情でルイを見つめる。

「…そ。ならいいや。じゃあ、俺も特にない」

ふいっと視線をそらし、まるで子どものようなことを言うルイにカローナは心の中でため息をこぼした瞬間。

ちょうど1曲目の音楽が終りを告げる。

ハァ…気まずかったからちょうどいいタイミングね。

と、カローナが安堵したのもつかの間。

「カローナ姫、次は私と踊っていただけますか?」

背後からかけられた聞き覚えのある声に彼女は思わず血の気が引いていく。