その瞬間、キャーッと御令嬢たちの黄色い歓声が室内に響く。

「ちょっと…見ました?ルイ王子からダンスのお誘いをうけてましたわよ」

「えぇ…。それにさっきからロコ姫にお姉さまって呼ばれていませんでした…?ユージス様とも親しそうにお話されてましたし」

ヒソヒソと話してるつもりなのだろうが、全て筒抜けの彼女たちの言動にカローナは背筋が凍った。

ちょっと…ユージスのことまで…そんなに大きな声で…。

しかし、ありがたいことにルイには聞こえなかったようで特に気にした様子もなく、ダンス会場へとエスコートをしてくれる。

よかった…ルイ、聞こえてないみたいね。

ホッと胸を撫で下ろしたカローナは気づいていなかった。

「……」

ルイの表情から笑顔が消え、徐々に、黒いオーラをまとい始めていることに。