カローナ自身も早めにその場を離れたかったため「そうね」と、ロコに声をかける。
「それではユージス様、私達はこれで失礼します」
それだけ言い残し立ち去ろうとした時だった。
「カローナ姫、良ければ私の国に来ませんか?」
「…はい?」
ニコリと柔らかい笑顔を崩さないままユージスはカローナに向かって声をかける。
「…それはどういう意味ですか、ユージス様?」
「そのままの意味ですよ、カローナ姫?ぜひ、貴女に我が国に来てほしいと思いまして」
彼の言葉に思わず、引きつりそうになる笑顔。
「…申し訳ありませんが、ユージス様も知っての通り…オルテカ国にやって来たのは理由がございます。勝手に貴方の国には行けませんわ」
なるべく失礼にならないように慎重に言葉を選びながら、ユージスに向かってそう言い放った。
だいたいユージスは、何を考えてるのかさっぱりわからない。
ルイの妃になるためにこの国に来たカローナを自分の国に連れて帰るなんて…下手したら争いを巻き起こしかねないというのに…。