奈々はちらっと佐藤くんのほうを見て言ったけど彼は気にしないようにさっと教室を出て行った。


忘れなきゃ。忘れなきゃ。




「槇原さん、今日、寄り道していい?オレ、連れて行きたいとこがあるんだ。クレープ好き?」




「うん。クレープ大好きだよ」




「よしっ、じゃあ行こう」




靴を履き替えて外に出ると都築くんはそっと私の手を握った。


嫌じゃない。なんだかワクワクする。


うん。きっとすぐ都築くんのことを好きになれるかもしれない。



そんな予感がする。