震える手で奈々の手をギュッと握る。


せっかく奈々にもらった勇気を無駄にしたくないよ。


扉に手をかけて中に一歩足を進めた。




「・・・佐藤くん」



佐藤くんは窓の外を見ていたみたいで私の声にビクッと体を震わせて振り返った。


久しぶりに見た佐藤くんの正面からの姿。熱い思いが吹き出てきそうでそれだけでまた涙があふれる。



でも彼はまた視線をそらして冷たい声を出した。