時計を見るとすでに午後12時をまわっていた。
家から昔通っていた中学校までは20分くらいだ。
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい!あ、お兄ちゃんが身支度してる間にお弁当作っておいたから」
「頼んでねぇだろ・・・?」
「ご、ごめん」
「謝んなよ。・・・嬉しいんだよ馬鹿」
莉央の頭をぐしゃっと撫で、弁当を受け取り家を出た。
今の幸せを絶対に壊してたまるか。
昨日まで諦めていたこの幸せを。
俺は少し早足で中学校に向かった。
もしかしたら里奈はいないかもしれない、来ないかもしれない。
だけど、足は早まるばかり。
気持ちもなぜか高まっている。
俺はケータイで何度も莉央の写真を見ながら心を落ち着かせた。