「ちょっと、お兄ちゃん」



心配してか莉央が玄関まで走ってきた。


「どした」


「どしたじゃないよ!お母さんでしょ?駄目じゃん・・・!いれてあげよ?」


「駄目だ」


「なんで?」


「縁も切った」


「えっ!?な、なんでよ!!!」


「それは・・・」




言えるわけがない。


実の母親と肉体関係にあったなんて。

・・・言えるはずがない。



莉央の為と言いながらも
実際は俺自身の為なのかもしれない。





「言いたくないなら言わなくていいよ!ごめん」


「莉央・・・」


「お兄ちゃんにも色々あるしね!もちろん、私にも」


「きっと、いつか話す」


「うん・・・。待ってるね」




遠い未来の話になるかもしれない。

だけど、
その遠い未来に莉央がそばにいてくれたらいいと心から思う。