☆渡川side☆
「バイバイ」
と言って手を振りながら走って行ってしまったシイ。
俺が手を降ったら、シイはいつの間にかいなくなっていた。
「やっぱシイには手が届かねぇか」
俺は一人呟いて、店に入った。
店は客の入りがピークに達した時間帯で、店内は人とラーメンの熱気でいっぱいだ。
冗談でおっちゃんとシイに『しがないラーメン屋』とか言ったけど、
休日には行列もちょくちょく出来るし、実際おっちゃんのラーメンおいしいしな。
「おい京ー!!
ちょっと手伝え!!」
おっちゃんが俺を厨房から大声で呼ぶ。
「なんでだよー」
「ラーメンおごっただろーが!
つべこべ言わず早く皿洗い!」
心の中でぐちぐち言いながら、厨房に立って、どんぶりを洗う。