突然上から声がした。
とっさに後ろを向くと…
「――渡川!?」
「やっほー、シイ」
パーカーにジャージという、あまり見ない姿をした渡川が河川敷の上の道から私に手を振った。
な、なんでここに?
なんて思っていたら、渡川がこっちに向かって降りてきた。
やばい。泣き顔見られるっ…
「うわっ!なにその土偶みたいな目っ」
「み、見ないでよ!」
女子の目を、しかも心がデリケートな時に!
ホントにデリカシー無い!
「けど、そんなに目ぇ腫らすまで泣くってことは、佐伯となんかあったな?」
徹の名前を聞いて、変に体が反応する。
「…図星だなぁ〜
シイってホント分かりやすいんだから」
「うー…
渡川には関係無い!」
そうやって渡川から逃げようと、スクバを手に取ったときだった。