「タッキーの隣なの!?なる。」

「のの、知ってるの?」

朝の通学路、
春休み明けということで
制服は冬服、ちょっと窮屈な感じだ。
1年のころから、だいぶ伸びた髪。
ポニーテールが振り子のように
左右に揺れるのを感じた。

「タキザワ チアキ、でしょ?」

私のとなりで元気いっぱいで
子どもみたいな声で話すのはのの。
ショートカットの赤っぽい髪の毛が、
春風にフワフワっとなでられてる。

「うん、『千』に『昌』でチアキ。」
私は手に指で文字を書いてみる

朝、私と『のの』は2人並んで歩く。
話題は、クラスの席についてだ。

「有名人だよぉ?
なる、知らないんだ。」

「始めて聞いたって…。」

私は小学校4年生の頃、
のの達と同じ小学校に転校してきた。
人数の多い学校で、
中学2年生のクラスでも
知らない人ばかりなのだ。

「うんと、背が高くって。
足が、すんごく速くてーー。」

「へぇ〜。」

歩夢は楽しげに話した。

「もしかしたら、
なるの彼氏候補かもね?」

「ないでしょ、それわ。」

「わっかんないよー?」

ののとの出会いは、単純に
1年のときにクラスが一緒だった。
第一印象は、明るくて元気。
今の印象は、おてんば娘。
そんな子である。

そんな1年のときから
続いている今の関係は良好。
朝、一緒に登校するのは楽しくて。
眠い私を起こしてくれる
元気のみなもとだ。

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学校に着いて、
靴を履き替える。
何を話すでもなく、教室に向かう。
2-C
歩夢がためらいなく、ドアを開けた

「いち、にぃ、アタシはココだ!」
ののは早速席を見つける、
私は、と…
「あ、なる!意外と近いよ?
列はさんでそっち!」

「近くないじゃんか、全然。」

「まぁ、話せる距離だよー!」

ののは朝から元気、
そして例の
「千昌くん」はまだきてない…

はやくこないかな?