ーーだけど、細井くんだけは、違ったの。
「……。」
「…すいません、いきなり。でも、ちょっと会話聞こえちゃったから。」
地味で、冴えなくて、クラスメートには存在を忘れられてるような目立たない人で。
誰も見ていないのに、クラスの雑用やったりして。報われるかもわからないのに、いつだって一生懸命で。
「…っ、うぅ。」
「わわっ、大丈夫ですか…?」
彼は、この世界で唯一、薄っぺらさを感じない人。
言葉に、温かさを感じる人。
彼はいつだって、私の感情を色付ける。
あの時も、そうだった。
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