「…見ないで。」


ボロボロと、溢れ出してくる涙。
細井くんは、明らか戸惑っていて。


こんな弱い私、見られたくないから必死に顔を背ける。



「あ、ごめんなさい…。」

「……。」


申し訳なさそうに、困ったような顔を浮かべる、細井くん。


その顔は、なんだか本当に私を心配しているようで、…友人たちみたいに、私の顔色を伺うようなものではなくて。


心の底の感情がそのまま表情になったようなもので、私は胸の奥がツンとなったの。



「…細井くん。」



私、やっぱり細井くんのことが好きなんだと思う。


決してイケメンとは言えないし、地味だし、要領悪そうだし、鈍臭そうだけれども。



細井くんの言葉には、心の底から出てきたものならではの、温かさがある。

細井くんの言葉は、「生きてる」って感じる。



その温かさが、心地よい。