はぁはぁ…ー

着いたその場所は、

「病院…ー?」

312号室に向かって

足を動かす。

その部屋の前には

『石井夏生』

と書かれていた。

「夏生…ー」

お母さんだと思う人が

私を見た。

「どなた?」

「あ、私夏生君とお付き合いしてました」

「この子馬鹿なのよ。事故に巻き込まれて、意識が戻らないの」

え…嘘…ー。

夏生はある夢を見たらしい。

自分が死んでしまう夢を。

だから、あの日私にあんな事を言ったんだ。

「夏生はきっと、目を覚ましますよ。私はそう信じてます」

涙は流れなかった。

だって、まだ私、

状況を受け入れられてない。

きっと大丈夫だよね?

私にもう一回好きって言ってくれるよね?

私は夏生が書いた

手紙にこう書いて

隣に置いた。