夏のように、体がうまく

動かない。

それくらい、今日は寒い。

大丈夫かな?

私勝てるかな?

『いちについて、よーいドンっ!』

あの日とは違って

私のクラスは一位だ。

いける!

そう思ったけど

「アンタむかつく。夏生も取って、一位も取りやがって。アンタが悪いんだからね」

「…っ痛つ」

足を思いっきり上から踏まれた。

だれも私達を見ていない。

きっとそう、この子は

あの日私が抜かした女の子だ。

そして夏生が好き。

でも私も負けられない理由がある。

「私だって夏生が好きなの」

「黙らないと走れなくなるよ?」

…っ。

ジンジンと足が痛くなるのが分かった。

バトンを受け取った時に

足と足が触れて、

私はその場に崩れ落ちた。

「七瀬!」

そう呼んだのは夏生。

「大丈夫か?!」

「夏生…ー痛いよ」

足も心も痛いよ。

「大丈夫。俺に任せろ」

私の体を持ち上げて

その場を立ち去った。

夏生、大好き…ー。