高校生になった私は、
学校での初めての体育祭に
胸を膨らませていた。
「七瀬~頑張れ!」
「うん!ありがとう」
競技はリレーのアンカー。
もともとは陸上部。
だから誰よりも速い自信があった。
『位置について、よーいドンっ!』
そのかけ声と同時にスタートした一走者。
二位か…ー。
心の中はワクワクしていた。
バトンを渡されて、ゴールテープを
両手を上げて切る。
この瞬間が何よりも好き。
「七瀬!ごめん!」
「大丈夫、任せて」
パンっと、強く渡されたバトンは
皆の汗で少し滑りやすくなっていた。
二メートル、一メートル、
十センチ…ー。
パンパンッ!!
「七瀬!七瀬!やったね!」
「うん!」
勝った…ー。
この歓声がたまらない。
そして、この息のしにくい感じ、
私は好きだ。