呼び起こしてしまった記憶にフタでもするように、私は淡々とパソコンをシャットダウンさせた。
そして、机に置いていたスマホを持って立ち上がると、照明から下がっているひもを引いて明かりを消し、窓辺へと向かう。
私は数センチだけ窓を開けた。
その隙間から早速、ひゅうっと切なげな音をたてて秋風が滑り込む。
風はすっかり冷え切っていて、私は思わず肩をビクリとさせた。
けれどその風は、私の顔に真正面から勢いよくあたってくれる。
柄にもなく濡らしてしまった頬を、その風が乾かしてくれる気がした。
普段は嫌いなこの風の声も、今はあまり嫌だとは思わない。
無駄に高くて切ない泣き声みたいな音だけど、能天気な音の方が聴きたくなかった。
自分で言っておきながら、よくわからないの。
ソラに、羨ましいなんて言葉を言ってしまった自分が。
仲間ごっこなんて私は嫌いなのに、なんであんなことを思ったんだろうね。
私はため息をついて空を見上げた。