どんな内容であれ、ブラックは今回も淡々と告げる。

ちょっとした悪夢を見てしまった程度にあっさりと。

でも、私にはどうしてもわからないことがあった。

【それだけのことがあったのに、なんでふたりはここに戻ったの? そんなことがあった場所に、私なら戻らない】

それを知っていて戻るなんて、普通じゃない。

普通なら、怖くて戻れるはずがない。

【ソラには、ここしか居場所がないんだ。あの時はふさぎこんでいたけど、それでもソラが生きられる世界は、ネットにしかない】

私はなにも返す言葉がなかった。

ふと、キーボードの上にある手に視線を落とす。

その爪にはまだ、ももたんの残骸としてブルーのネイルが残っていた。

ああ、私も同じか。

ネットに、そして、ももたんっていうキャラクターに依存して生きている。

私はその毒々しい色のネイルを隠すように、そっと拳を握った。

そこに、私が生きるための必死さが出ているようで、見ていると情けなくなるんだ。