サキと友だちになって1週間。アイツは、もうクラスに馴染んでいた。意外と、男からの評判もよくて、まだ1週間しか経っていないのに、学校中の有名人になった。

顔よし、スタイルよし、性格よし。おまけに勉強にスポーツもできるとなれば、モテないはずないか。

「わりぃ、遅れた!!」

「遅いっつーのー。」

「ごめんって!」

「行くよ?」

最近は、一緒に登校するようになった。断じて、付き合ってないけどね。

「で、アキがそのおっさんに話しかけられて…。私さ、キモッって言っちゃって!!」

「やばくね?」

「そーなの!そしたら、なんだと?コノヤロー!!って言われて。もう、超ダッシュして!!」

「ぎゃははは!!」

「必死で逃げたし。」

「お疲れ様でしたぁ!」

「他人事だと思って…。」

くだらない話をずっとする。でも、サキの話は聞いてて飽きない。
昇降口に着くと、当たり前のように入ってたラブレター。

「あっ、サキ。ユウもおはよー!!」

声をかけてきたのは、アキ。サキの友だち。それで、俺の幼なじみ。大金持ちで、家は豪邸…。

「おっはよ♪アキ!」

「今日の収穫は?」

「じゃん!!5通。」

「見せて!咲さん、キミを見た瞬間から、心臓がばくばくうるさいんです。好きなんだ。あぁ、咲さん。どうして咲さんは…」

アキが、サキへのラブレターを読み始めた。

「なんだよ、それ。演劇部のキモオタ部長だろ!?」

「ユウ、当たり!!大正解。」

教室に行きながら、話し続ける。

「ねぇねぇ、その人そんなにキモいの?」

「サキ、アイツには近づくな。なんかあったら…」

「そーだよ、ユウの言うとおり!!家ヤバイらしいよー?」

「ふぅーん…。」

手紙の中には、呼び出しもあった。

「あっ、サキサキ!!呼び出し!サッカー部の先輩だよー。」

「今日の放課後に裏庭?」

「行って来れば?ねぇ、ユウ?」

「いんじゃね??行って来いよ。」

なんだかんだ言いながら、こんな関係に満足していた、中2の俺。