「ユウ、愛してるよ?」

「うん、俺も!!」

好き、愛してる、世界一…。あの頃、並べた言葉。今では、もう言えない言葉たち。
嘘と悲しみのカタマリだった。そう思い始めたのは、アイツと別れてからだ。

俺は、アイツと別れたあの日から、止まったまま。
記憶も、心も。そこから動いてくれない。


アイツと、初めて会ったのは、中2の5月だった。
ガキだった俺の前に現れた。バカみたいなのに、そこらの中学生とは何かが違う…。

それが、サキだ。

「転校生を紹介する。香住咲さんだ。」

「よろしくお願いします!」

「席はー、一番後ろの窓側な!羽野の隣だ。」

なんて話そう…。よりによって、俺の隣だし。

「よろしく♪えっと…羽野くん!!」

「おう、よろしくー!!てかさ、カスミとサキ、どっちが名前?」

一瞬の沈黙後、転校生は爆笑した。

「アハハハ!サキが名前に決まってんじゃん!!うけるー!気に入った。羽野くん、友だちなって?」

「おう!!」

「改めて、よろしく♪」

俺たちは、手をぐっと握りあった。ただ純粋な、友情だった。
ヘンな転校生とか思いながらも、俺は何かを感じた。

それを、運命だと知るのは、そう遠くなかった。
全ては…ここから始まった。