みんなが進路について真剣に話し始める頃。

私はやりたいことが本当に見つからない。

陸上の指導者…も考えてはみたけれど、どうも人に教えるのは苦手だ。



その日の帰り道。私は1人でバスターミナルまで歩いていた。

菊乃は彼氏さんと図書館に行くって言ってたな…


ふと前を見たら後輩の仲西萌夏(なかにしもか)ちゃんがいた。
隣には男の子。2人とも頬を赤らめて楽しそうにはなしてる。


あ〜萌夏ちゃんも彼氏いるんだ・・・
私が陸上に熱中してる間にみんなは陸上以外のところにも目をやって、楽しい青春を過ごしていたんだね。本当に・・・羨ましい。
でももう恋愛なんかに夢中になるなんて出来ない時期。
まだ志望大学も決まってないし。

最寄りのバス停に着いてバスから降りて家まで歩く道。


途中にある遊歩道にはエリカの木。蕾をたくさんつけて凛として立っている。

確か花言葉は「孤独」。

孤独・・・か・・・

みんなに置いて行かれてる気がするよ。

でもみんなは待ってはくれない。

自分で追いつかなくちゃいけないんだ。