「梭輝先輩!!女子100m走の招集かかってますよ!!」


「ん。ありがと。行ってくる。」

そう言ってお茶を一口、頬張るように飲んだ。

そして私は歩き出した。恐らく最後のフィールドとなるだろう所へと。


「梭輝!!」

不意に聞こえた菊乃の声に無意識的に振り返る。


「全力で応援してるから!!」
にっこりとした可愛らしい笑顔で菊乃が言う。

「先輩!!私も全力で応援します!!」

「私もです!!」


「おっ!!俺も俺も!!」


みんな・・・ありがとう・・・!!


「頑張ってくるね。」


ダメだよ。梭輝。ここで泣いたら走れないじゃない。
自分に言い聞かせ、こぼれそうになる涙を必死にこらえた。