ー1ヶ月後ー
「だんだんと治ってきてはいるが、私はまだ走ることを許可する訳にはいかない。」
全国大会まであと1週間。そろそろ練習を再開しないと全国大会までに間に合わない。
こう言われることはだいたい予想できていた。
私はこの1ヶ月かけてひとつの決断をした。
「先生…私、どうしても全国大会に出たいんです。これが最後のチャンスだから。」
ごめんね、春香。私はアスリートにはなれないかもしれない。
「それは、この前も言ったが、このままの状態で走ることは将来のあなたの足の自由を無くすことになりかねないんだよ。」
「私…それでもいいんです…私は小さい頃から走り続けてきて幸せでした。その頃から全国大会を目指してきました。私は全国大会で悔いの無いように走ることが出来れば、その後足が動かなくなっても絶対に後悔はしません。だから、何が何でも全国大会に出たいんです!お願いします‼」
頭を下げた。