「ここね」



新しい制服に身を包んだ私は、その学園の門へと一歩踏み出した。
ヒリヒリと緊張感が漂ってくる。
私、上手くやっていけるかな?


姉さんから聞かされていたけど、普通の学校よりも怖い人達が多いらしく、お世辞にも"綺麗"とは言えない校舎が立てられている。


そこから緊張してしまい、頭が真っ白になる。
確か初めは職員室に行かなければ行けないはずだ。
キョロキョロと辺りを見回してみる。
だけど……どこにあるのかさっぱり分からない。
目の前には相変わらず学校の靴箱が見えるだけ。



「……どうしよう」



人に聞くにも周りには人が居ないせいで、どーすることもできない。
仕方なく靴を脱ぎ、とりあえず歩みを進めた。


廊下を歩く私の足音と、グランドから微かに聞こえる体育の声。
何と無く体育をサボってる気分。


角を曲がったそこで、目の前にとても気になる教室が出てくる。
見た目は他の教室と、さほど変わった点は見当たらない。
しかし……



「……生徒会室??」



確かに教室の入口付近に、"生徒会室"とかかれたプレートがゆらゆらと風で揺れていた。



「人、居るのかな?」



もしも人がいたら、私はちゃんと職員室にたどり着けるんじゃないだろうか?
少しの不安と期待をせよい、そっとドアに耳を傾けようとした、その時だった。



「だいたい、公武合体政策はな……」


「近藤くん、もう少し音量を……」


「おぉ、そうか。すまんな」


「僕、お茶買ってきますね。近藤さんも入りますよね?」



そう聞こえたかと思ったら、だんだんと近づいてくる足音。
何の話か分からない。
けど、聞いたらダメっぽかったよね?


ドクンドクンと心臓の音はして、頭が真っ白になるのは、本日2回目。


ガラッ……