倉ヶ市さんが取り出したのは
古びた写真数枚だった。

「アマゾンの奥地で
全くの非文明の部族が
いると言われます。
マシコ・ピロ族と呼ばれ
その言葉を話せるものは
いないと聞きました。
数年前、ここに迷い込んだ
数名の冒険家が、歓迎され
とても良い待遇を受けた
そうです。そこで食べた
料理の中に、その幻の
スパイスが使われていた、と」


写真を見ながら説明を聞く。
料理の最中を撮ったもので、
重そうなツボのようなものが
みて伺えた。



…そんなに、
美味しい料理ができるのか。

サンドウィッチを
食べ損ねた俺は想像して
口にツバがたまった。


「アマゾン…
マシコ・ピロ族…」


そうつぶやきながら
キトは頬杖をついた。

キトが凄まじい思考を
巡らせる時の癖なんだ。


「できそうですか…?」


倉ヶ市さんが不安気に
キトに尋ねた。


キトは少し間をあけて答えた。


「もちろん!」