でも引き受けるのとは
わけがちがう。

なんたって、問題は山積みだ。


まず、本当にあるのか?

どこを探す?

危険はないのか?


そう思って口を開こうと
したその瞬間

「わかりました、
そのご依頼、僕たちで
引き受けましょう」


ああ、まただ。
キトの好奇心には敵わない。

いつもそうなんだ。


このあいだの金持ちの
婆ちゃんの依頼だって酷かった。


飼い猫が逃げたから
捕まえてきてくれ

っていう簡単な依頼だと
思っていたら、これが
とてつもなくでかくて太くて
凶暴な猫だったから
たまったもんじゃなかった。

日がくれる頃には
二人ともヘロヘロの傷だらけ。

この時だけは、
猫好きの少年を恨んだ。



そんなことを考えながら
コーヒーカップ片手に
2人の元へ戻る。

「そもそも、幻のスパイスなんて
どこにあるんだよ」


俺が聞くと倉ヶ市さんは
これまたボロいカバンをあけて
ゴソゴソとなにか取り出した。