「よくここにくるんだけどね、いつもは優しそうなお兄さんが何も言わなくても出してくれるものだから…言い出しづらくて」 「あ…」 優しそうなお兄さん、から想像するに恐らくハルくんのことなのだろう。おばあちゃんはにこりと笑いながらお箸を受け取る。 「けど若いのに気がつく子なのね。ありがとう」 「……」 『ありがとう』 笑顔でこぼされたその言葉は、しっかりと心の奥に刻まれる。 「…どういたしまして、」