「空ちゃんって面白いね〜」
「『あり得ないくらい惚れてるけど何か悪い!?』だってさー。凪裟、良かったな」
はわわわわ…。
それ言わないでよ…。
恥ずかしいよ…。
「あれぇ?空ちゃん、顔真っ赤〜」
「愁。空ちゃんだけじゃねーよ。凪裟も真っ赤〜」
咲本凪裟が真っ赤なわけ…あったみたい。
あたしほどじゃないと思うけど、咲本凪裟も顔が赤い。
さっきまで、満足そうに笑ってたくせに。
「空可愛い〜♪」
「夢歌うるさいよ」
「えへへ♪」
夢歌の方が、何億倍も可愛いんだけどなぁ。
「そー言えばさ、今週の金曜って終業式だよね?」
夢歌が突然そう言った。
「そーだけど、それがどうしたの?」
「どうしたのって、終業式ってことは夏休みでしょ?だからさ、みんなで海でも行かない?てか、行くよ!!」
えっ!?決定事項!?
「夢歌ちゃん、それいいねぇ〜」
「俺も賛成する」
水嶋大我はともかく、橘藍兎が賛成って…。意外だなぁ。
「俺も〜」
「俺は空が行くなら行く」
いや、勝手に行ってください。
って言いたいけど…。
咲本凪裟はかっこいいから、逆ナンとかされそうだなぁ…。それはぜーったい嫌だ!!
「あたしも行く」
あたしのその一言で、海に行くことに決まった。
「空!何でパーカー羽織ってるのよ!!」
あたしは今、海に来ています。
海の家で水着に着替えたんだけど…。
「べ、別にいいじゃん。恥ずかしいんだもん」
羽織っているパーカーを、夢歌に脱がされそうになってる。
「せっかくあたしが一緒に選んだビキニなのにぃ。見せないと!特に咲本くんに」
「凪裟に!?」
は、恥ずかしすぎる。
そもそもあたしには、白のビキニなんて似合わないよ。
白って清潔なイメージあるし…。あたしは清潔そうには全然見えないもん。笑われるよ。絶対。
「あ、咲本くん」
「え、ウソ!?」
その瞬間、
「キャッ!?」
夢歌にパーカーを脱がされた。
しかも、丁度凪裟達が来たときだった。
さ、最悪。恥ずかしすぎる…。
水嶋大我と神宮寺愁は
「ワァーオ」
とか言ってるし…。
橘藍兎は夢歌を見て珍しく笑ってるし。
咲本凪裟は、何か知らないけど驚いてるし…。
「パーカー返して!」
夢歌にそう頼んでみたけど、夢歌は笑いながらあたしのパーカーを橘藍兎に渡した。
ひ、ひどい…。
橘藍兎は首をかしげながら神宮寺愁にパーカーを渡して、
神宮寺愁はニヤニヤ笑いながら水嶋大我にパーカーを渡した。
「水嶋くん返してよっ!!」
「やーだね。
凪裟プレゼント♪」
あたしのパーカーは、咲本凪裟の手の中にいる。
いいなぁ…じゃなくて!!
「凪裟、返して…?」
あたしより遥かに大きい咲本凪裟を見ながらそう言った。
何かわからないけど、凪裟の頬がほんのり赤いような気がする。
もしかして、熱?
『大丈夫…?』
あたしがそう言う前に、咲本凪裟はパーカーをあたしにかけた。
「へ?」
あれ?何か今日の咲本凪裟、いつもと違うような気がする。
何か、ぼーっとしてる。顔も赤いし。
「夢歌、凪裟何か変じゃない?」
隣にいた夢歌に、あたしは男子達に聞こえないようにこっそりと聞いてみた。
すると夢歌は、何故かニヤニヤ笑い出した。
「咲本くんは、空にみとれてるのよ」
「は?」
夢歌が変なことを言い出した。
咲本凪裟があたしにみとれるだなんて、そんなおかしなことあるわけないじゃない。
「空、ホントだから♪」
夢歌はあたしにウインクをして、橘藍兎の方をみた。
何か、二人をみていると余計暑い。
「凪裟、海行こー?」
あたしはまだぼーっとしてる咲本凪裟のてを掴んで海の方へ連れていった。
「なぁ」
海に入ってしばらくすると凪裟に話しかけられた。
「どーしたの?」
いつになく真剣な顔。
その顔にドキドキするあたし。
「俺から絶対離れるなよ」
え?何で?
トイレとか行くのも離れちゃいけないの?
…それはぜーったいヤダ。
「お前、変なこと考えてるだろ?」
「へっ?」
意味わかんない。チンプンカンプン。
「まぁいいや」
「そぉー?」
やっぱ今日の凪裟変。すっごく変。