さっきは女の子の声がしてたはずなのに誰もいないなんて、少し変だな。




 混沌としていて、それでいて何もない。不思議な場所だな。ふわふわ、ふわふわ。ほんとに日本?それ以前に現実?
 体が軽い。足が浮きそう。夢なのかな。

 背後から聞こえた足音に意識を持って行かれた、誰かいる・・・?

 「ねぇ、お姉ちゃん。ここに来たのは初めて?」

楽しそうな、儚さを秘めた高い声が直接脳に送り込まれたような錯覚に陥る。

「え・・。初めてだよ。」

 振り返りながらそう答えた、目線の先には色素のないワンピース、同じように色素のない髪、そして赤い目の私が立っていた。正確に言うと幼い時の私だ。

 「あっれ~?お姉ちゃんサラにそっくりだね~。」

 「・・・、だって私が沙羅だもん。似てるんじゃなくて本人。」

 「お姉ちゃんもサラっていうの?わぁ!!同じ名前だ!!。」
 素直な笑顔をこちらに向けてうれしそうに言った、同じ名前、そっくりな外見。違うところと言ったら髪の色や目の色くらいだ。私は日本人の大半が占める黒髪黒目だ。それ以外しか、それしか違うところがないなんて少し不気味だと思ったが、その意識は腹の中に飲み込んだ。

 「ここに来たってことは、お姉ちゃんは体は向こうか~。」

 「向こう・・・?」
 
 「そうだよ~。」
 少し間を開けて訂正するようにサラが言った。

 「あ・・!!向こうっていうのはお姉ちゃんがさっきまでいた世界のことだよ。」

 「え・・・?」
 じゃあここはどこなの、と聞くまでもなくサラは喋り続けた。
 
「ここはね、サラの「すばらしいせかい」なんだ~、みんな仲良しで、とっても楽しい場所なんだよ。」

 「ここは、現実じゃないってこと・・?」

 「そうだよ、でもねあんなつまらない所にいるより、サラの世界で楽しく過ごしたほうがいいでしょ?」

 無邪気に笑ってるサラを見てると何も反論できなくなる。私も昔はこんなだったのかと少し負ったけど、今はどうでもいいことだ。 
 確かに、今年中三になった今、受験とかを考えるより、この自然と廃墟の中でのんびりすうごすのもいかもしれない。

 「向こうではお姉ちゃんは寝てるの、簡単に説明すると夢を見てるんだ。」

 夢の世界か・・・、これは夢。やけにリアルな夢だこと。

 「お姉ちゃんも今ここにいるってことは、サラの「友達」だよね?」

 私はなぜか頷くことも首を横に振ることもできなかった、さっきのサラの発言に何も反応出来なかった私の手をサラはつかみ。

 「あっちにも、たくさん友達がいるの!!早く行こう。」

 といった。