『…花乃……
あなたの歌は、人を幸せにする力があるわ』


『お母さんっ!』


『…泣かないのよ。
お母さんはいつでも…あなたの隣に居ますからね?』


『置いてかないでよぉ』



『…花乃……』



『あたし…、あたし頑張って人前で歌えるようになるから!お母さんの好きなアヴェマリアを歌うから!
……だから…お母さん………』



『花…乃の…歌は……幸せを…………』



『お母さん…?お母さん!?…イヤーっ!!!』





花乃の母、雪乃は

柔らかな初夏の陽射し溢れる中
帰らぬ人となった…