桜ちゃんの肌は温かくて、包まれている事に安心して。


泣きながら桜ちゃんに辛かった事を話した。




お父さんは会ってもくれなかった事

都会のスピードに着いていけなくて、何度も転んだ事

流行の最先端を行く同級生に馴染めなかった事

一人の部屋が寂しかった事



そして一番辛かったのは

大好きな歌を認めて貰えなかった事…






「花乃、花乃は誰に認めて貰いたかったの?」


「…ぇ…それは…先生に……」


「ほんとに?雪乃さんじゃなくて?」


だって…だってお母さんは、もう居ない…



「花乃が頑張ってるからさ、応援しようと思って今まで言わなかったけど…」


「…なにを…?」


「雪乃さんは、そんなつもりで言ったんじゃないと思うよ」



真剣な桜ちゃんの瞳の中には、泣きすぎて真っ赤な目をしたあたしが、不安そうに映っている。

桜ちゃんは、そっとあたしの髪を撫でながら続けた。



「雪乃さんは、大きなステージに立つために、花乃がボロボロになるなんて望んでないよ」



「でも…お母さんと……」



約束したんだもん…