「……否定はしませんけどね」
「けど……?」
「花乃の美味しさを知ったら、他は食べる気にもならないですよ」
なんか、本当に食べ物みたいなんですけど……
それでも、他の人には行かないと言ってくれたみたいで嬉しかった。
「花乃の泣き顔は好きなんですけどね?悲しませるのは好きじゃないので、いじめるのは程々にしておきます」
「……程々にして下さい」
「いじめ過ぎて、他の人の前で泣かれるのは嫌ですからね」
あたしが素直に泣けるのは、那月さんの腕の中なんだけど……
やっぱり言わないと分からないよね?
「あの……ね?……那月さんなの……」
「何がですか?」
「んっと……あの……あたしの泣ける場所は……」
桜ちゃんの腕の中じゃなくて、那月さんの腕の中なの。
だから、そこを他の人に譲ってあげる事は出来ないの。
那月さんが妬いてくれる事が、嬉しいだなんて言ったら怒られるかな?
あたしが一番素直なれるのは那月さんと一緒に居る時なんだけど、どうしてか一番素直になれないのも那月さんに対してな気がする……