おばあ様の部屋の前で、ぐずぐずしていると、お茶と大福を持った明美ちゃんに見つかってしまった。


「あれ?なんや二人して」


「そうですよ。花乃、いい加減に入ってらっしゃい」



…おばあ様は気が付いていたみたい。

これって、とっても恥ずかしいのでは?


笑いを堪える那月さんの足を踏みつけてから、そっと明美ちゃんの後ろから部屋に入った。



「失礼致します」


まだ笑いを堪えてる顔で、那月さんも後に続く。


「おやおや、あなたもよく笑うようになりましたね」


「花乃のお陰ですね」



あたしがいつも変な事をするからって事?

何だか素直に嬉しくはないんだけど…


複雑な表情をするあたしを見て、笑いを堪えもしない明美ちゃんは、追加のお茶と大福取ってくると言って部屋を出ていった。

お茶会に飛び入りしてすみません。



「なんですか、いつまでも歯に物が詰まったみたいな顔をして」


「…してません」



あ~ぁ、等々那月さんが笑い崩れちゃった。

しばらく那月さんが笑い終わるのを待って、おばあ様に向き直った。



「ねぇ、おばあ様。
…おばあ様とお父さんの『約束』って……なんの事?」


「克也から…連絡でもありましたか」


「どうしてお父さんは、あたしに会わなかったの?おばあ様は理由を知ってるの?」


「花乃」


静かに置かれた那月さんの手は、宥めるように背中を撫でた。

少し頭に血が上ってたみたい。

一回深呼吸をすると、落ち着いておばあ様を見れた。