「さて、そろそろお風呂に入りますか?」
「ん~、丸ゆべし」
「それは昼間に食べたでしょう?それにさっきお腹いっぱいだって言ってたじゃないですか」
「丸ゆべしは別腹です!」
元気よく言ったあたしを見て、やれやれと言うように微笑んでくれる那月さんが好き。
少し前、お母さんの命日には、那月さんと二人でお墓参りに行ってきた。
必ず、花乃と幸せになりますと、お母さんの前で言ってくれた事が涙が出るほど嬉しかったよ。
今年は行けないからと、恵美さんは手紙と色とりどりの飴玉が入った瓶を送ってくれた。
飴玉はあたし宛で、手紙はお母さん宛だった。
だから、手紙は封を切らずにお母さんの元へ。
走り書きには、元気なやってると書いてあった。
…恵美さん、お父さんに会ったのかな?
お父さんからは、毎年同じ白いバラの花束が送られてくる。
この時だけは、お母さんを思い出しているのかななんて少し心が暖まるけれど、やっぱり複雑なのは否めない。