あたしが愛を囁いた瞬間の、花が開くような那月さんの笑顔が、とてもとても綺麗だった。
男の人の笑顔を花に例えるのはおかしいのかも知れないけれど、あたしの目にはそう映っていたの。
それに答えるように、恥ずかしいけれど微笑むと、那月さんは更に嬉しそうにあたしの頬に触れた。
「花乃……」
那月さんの指先から、瞳から愛しいと言う想いが溢れている。
こんな愛に満ちた行為は知らなかった。
「花乃、花乃の初めてを私に下さい」
「……は、初めてじゃないよ……?………」
「初めてでしょう?身も心も全て愛し合ったのは」
那月さんは、どうしてこんな恥ずかしいセリフを、真顔で言えるんだろう…
那月さんの事以外は何も考えられなくなって…
それさえも難しくなると、ひたすら全身で那月さんを感じていた。
「……な、なつきさ……」
「花乃……」
切なげに少し余裕が無さそうに、あたしの耳元で呼ぶ声が、いとおしくて……
気を失うように眠りに落ちる前に、聞こえた那月さんの声は、夢なのか現実なのか…
『…花乃、私も初めてです。…こんなに愛したのも、こんなに大切なのも……』