そっと、那月さんの指先があたしの目尻に触れた。


「…怖いですか?」



自分でも気が付いていなかったけれど、いつの間にか涙がこぼれていたようだ。

落ち着いて見えるけれど、那月さんの瞳が不安げに揺れている。



「…嬉しくて……いいのかなって…」



こんなに幸せで、いいのかなって……

怖くなんてない。
怖いとしたら、それは那月さんに嫌われる事。


上手く言葉に出来ない自分がもどかしくて、どうして良いのか分からなくなる。



「花乃…花乃を大切にします。
生涯、貴女だけを愛し抜きます」



真面目な顔をして、あたしに覆い被さったまま那月さんは言う。

まるでプロポーズみたいな言葉に、嬉しくてまた涙がこぼれた。

人って、嬉しくてもこんなに涙がでるんだ…



「花乃は…?」


「那月さんを……アイシテマス…」


「おや、聞こえませんね」


「那月さんだけを、愛しています…」



こうなったら自棄だ。
恥ずかしさで顔から火が出るんじゃないかって、本気で心配になったくらい。