「那月さん……」
火照った肌に、シーツのひんやりとした感触が心地良い。
ゆらゆらと揺らめくのは、蝋燭の淡い光。
「花乃、寒くありませんか?」
コクリと頷くと、優しく優しく那月さんの手があたしの肌の上を滑っていく。
日中は汗ばむくらいの季節になったけれど、太陽が顔を隠すと涼しい風の吹く季節。
……湿度が多いのは難点だけど。
ここは下界より過ごしやすいのは確かだと思う。
冬は厳しいけど……
「おや、花乃は何を考えているんでしょうね?
上の空なんて許しませんよ」
「ぇ…えっとぉ………」
「お仕置きが必要ですね」
そんな柔らかく微笑みながら言うことでは無いと思います。
「那月さん…」
「そんな泣きそうな目で見ないで下さい。
私を煽ってるんですか?」
…前から薄々感じてはいたけれど、那月さんって S ですね?
「花乃が、可愛いのがいけないんです」
甘い甘い口付けは、あたしの心まで溶かしてしまう。