急になんの話だろうと首を傾げると、那月さんはあたしを抱き寄せながら、また後ろ向きになったあたしの首筋に顔を埋めた。
「でも、分からない事だらけです。
何故花乃が私なんかを好いてくれたのか、心当たりすら無いんです」
あぁ、さっきあたしが心の中で思った事を、那月さんは感じ取っていたんだね。
那月さんには分かるのに、あたしには分からない。
那月さんが羨ましいって思った事を、那月さんは感じ取っていたんだ。
「那月さん…」
「はい」
「那月さんだから好きになったの。
細かい事や切っ掛けは沢山あるけど……ンッ」
いきなりクルリと向きを変えられて驚いたけど、浮力ってすごいなんて変な事を考えた。
那月さん、お風呂の中でそんな熱い口付けをされたらのぼせちゃうよ…
あたしは、既に那月さんにのぼせてるのに。
「花乃……」
あたしを映す那月さんの瞳に、甘い欲の色を見た。
「今日は、我慢出来そうにありません……いいですか?」
熱に浮かされたように頷いたあたしを見て、那月さんが艶っぽく微笑んだ。
ずるいよ……あたしよりもずっと色っぽいなんて。