「………」
「そんなに意外ですか?」
「意外ですっ!」
どこの誰が釜戸と鉄鍋からパスタが出てくると思うだろう。
どっかの誰かは思うかもしれないけど、とにかくあたしは思わなかった。
…煮物や、とん汁でも作ってそうな鉄のお鍋だよ?作りづらくないのかな?
ふんわりと湯気を上げるパスタには、たっぷりのキノコとベーコンが覗いている。
…美味しそう……
「花乃の口に合うと良いんですが、どうぞ?」
「いただきます」
クリームパスタだけれど、濃厚過ぎず割りとあっさりしていてあたし好み。
キノコの旨味が溶け出したソースを麺に絡めると、思わずため息がこぼれ落ちた。
「美味しい……那月さんお料理上手」
「ずっと作ってますからね。凝ったものは作れませんが、あの鍋でオムライスも作りますよ」
…それこそ作りにくそうですけど。
って言うか……
「あの…あたしお料理って殆どしたこと無いんです…」
女としてかなり問題ありだよね…
いつも武さんが作ってくれるから、なんて言い訳にもなりゃしない。
愛想つかされちゃうかなぁ…