「何でも良いけどさ、なんかほとんど一件落着してから来たって感じ?僕ら」


「まぁ、峠は越したかなぁ…?」


「そっ、じゃあ僕らは温泉満喫してくるかな~。
一緒に入ろうね~?るぅちゃん」


「ふぇ!?え、えっとぉ…おっきいお風呂に入って来まーす!」


あたふたと視線を泳がせた瑠璃は、走って部屋を飛び出して行ってしまった。

クスクス笑いながら後を追う翔は、そんな瑠璃が可愛くてしょうがないと顔に書いてある。

……このやろう、見せ付けやがって!

それにしても…お前ら一緒に住んでんだろ?
まだ風呂に一緒にも入ってねぇのか?



さぁて、俺もそろそろ板場に行くかなぁ…

瑠璃達の持ってきたお膳をせっせと空にしながら考える。

武さんにああは言われても、人手が足りないのが事実で、休んでいる訳にはいかない。


「あいつらの邪魔も出来ねぇからなぁ…」

つーか、あいつらと一緒にいたら当てられるだけだもんなぁ…


「知花さま、誰に喋ってんの…?」


いつの間に来ていたのか、あからさまに頭のおかしい人を見るような目で花乃ちゃんが俺を見ている。


「……いつから居たんだぁ?」


「あっ、誤魔化した。
知花さまが汁椀あけた辺りから」


「…えらい最初の頃じゃねぇか」


「桜ちゃんが居ないからって、空気に話してるなんて哀愁漂いすぎ」


花乃ちゃん、なんで俺にはいつも辛口なんだ?

まぁ、これもこれで可愛いだけどなぁ…