「十夢さん、ごはん食べてないのぉ…?」


「…食べてるぞ?」


小動物は、まだしっかりお腹に抱き付きながら、彼女から遥か上にある知花さまの顔を見上げて言った。

……お客さまに小動物は失礼かも知れないけど、口に出してはいないし大丈夫よね?



「なぁに言ってんだか。
そんだけ目が泳いでてよく言うよ~」


大澤さまの言葉に、明らかにやつれた知花さまは困ったように微笑んだ。


「花乃、お部屋にご案内して。
お部屋でゆっくりなさって下さいな」


おばあ様に促されて部屋に案内するものの、知花さまから離れない小動物…

それを引き離そうとする大澤さま、と何だか三人でじゃれているようで楽しそうだ。


「るぅちゃん!もういい加減離れようよ~」

「やっ!」

「よしよし、瑠璃は俺が大好きだもんなぁ?」




「……あの…こちらをお使い下さい」


部屋の前に着いたんだけど、なかなか口を挟めない。

ちょっと寂しいな、なんて思ってしまった自分が嫌になる。