おばあ様と、永野絵里の私物をまとめながら、久しぶりに色々と話をした。


「…おばあ様は、なんで永野絵里の言いなりになってたの?」


「そうですねぇ、疲れたのかも知れません。
跡継ぎも居なくなって、やっていく先が見えなくなってしまいましたから」


「……今…も?」


こんなへなちょこ跡取りじゃあ、安心出来ないよねぇ…


「今は違いますよ。これからお前をしごくんですから疲れて等いられません」


「…お手柔らかに…お願いします」

おばあ様のしごきは、ごはんを食べる元気も無くなるくらいクタクタになると、桜ちゃんが言っていた。

…大袈裟に言ったんであって欲しい……切実に…



「でもね、少しだけ期待していたのかも知れません。
花乃が、自分の力で立ってくれるのを、どこかで期待していたんですよ」


「その為に永野絵里を野放しにしたの?」


「そうねぇ、これ事で危機感を持って動き出さなければ、あなたは決して跡を継ごうなんて思わなかったでしょう?」


「…それはそうかも知れないけど……」


それにしても、かなりの逆境でしたけど…


「でも、大きな賭けでしたよ。
お前がやり込められて畏縮して、出ていってまう事も十分考えられましたからね」


…確かに逃亡も企てましたとも。

そんな話をしながらも、永野絵里の服をバッサバッサ段ボールに詰めていく。


「もう少し丁寧に扱いなさいな」


「…はぁい」


「返事はハッキリ!」


「はい!!」


だって、あんまり触りたく無いんだもん…
香水の匂いキツいし…てゆうか臭い。

触った手にも匂いが移りそうで、ササッと段ボールをガムテープで封印してしまった。