「桜介、私としましては花乃を旅館に返したくありません。
…元から細かったのに、今は吹けば飛びそうな位です」
…那月さん、あたしは小枝かなんかでしょうか?
『…そんなに……?』
「えぇ、あちこちにアザが有ります。
たぶん…つねられた物だと思います」
えぇっ!?いつ見たんですか?
驚くあたしの背中は何だか少しスースーする。
…スースー?
わ、分かった…
トレーナーの襟から背中を覗いたんでしょ!
トレーナーの下は下着しか着てないもん…
しばらく桜ちゃんと話した那月さんは、結局あたしの思うようにさせる。と言う結論に達して電話は終了した。
「意外と動揺しないんですね?」
「…別に背中だけ…ですし……」
「お尻も見えましたけど?」
「…欲情されるような体でも無いので…
アザだらけです…し…?」
「花乃、そんな事を言ってると襲いますよ?」
……那月さんって顔に似合わず…
「まったく…そんなつもりは無かったのに、ムラムラしちゃったじゃないですか」
む、ムラムラっ!?
微笑みながら言うことじゃないですよ?
那月さんは、相変わらずあたしを抱き締める手を緩めてくれない。
でも、それが心地いいなんて甘えてると思うけど、今は離れたくない……