それは、どういう意味で…?

顔を上げると、悲しげな那月さんの顔があった。


「まぁ、再会してまだ日も浅いですし、頼って欲しいと言うのは私のエゴなのかも知れませんが…
安静になんて、出来ないんでしょう?」


そう言うと、一旦口を閉ざしてあたしを見詰めた。
まるで心の奥まで見透かされるような那月さんの瞳が、怖いのに目を離せない。

それに…再会……?



「再会ですよ。まぁ…あなたは覚えてはいないでしょうけど、意識なかったですしね」


意識……


「あっ、あの……もしかして溺れた時の…?」


「えぇ、私があの3人の中では一番泳ぎが得意なんですよ。十夢だと、思っていましたか?」


「…はい、ごめんなさい……」



あたしが増水した川縁で足を滑らせた時、確かに駆け付ける人影は3つだった。
でも、目を開けた時に側にいたのは桜ちゃんと知花さまで、服が濡れていたのは知花さまだった。


「私は師匠を呼びに行っていました。その後ずぶ濡れの服を着替えていたので、花乃の目には留まらなかったと思いますが」


「あの…知花さまがびしょびしょだったので、てっきり……」


「あぁ、アイツは駆け寄った勢いで、勝手に転落してたんですよ」


……コメントしづらいですね…


「まぁ、あんまり人に会いたくないっていうのは、その頃から変わっていないので…
お見舞いにも行きませんでした」


「でも……あの白い花は…」


川に落ちて熱を出したあたしの部屋には、一輪挿しに生けられた白くて甘い香りのする花が飾られていた。


『あなたを、川から助けてくれた方がお見舞いって持ってきてくれたのよ』


おばあ様の言葉に、あたしが思い浮かべたのは知花さまだったけれど…