「…はい。
用件は以上ですか?」
「そうですか…。
いえね、最近ここにも顔を出さないでしょう?」
何でなのかは、考えもしないんですね。
これ以上いてもらちが明かないと、直ぐに腰を上げた。
もう、あたしの知っているおばあ様は居ないんだと悲しくなる。
「花乃っ!」
「…なんですか?」
入り口に手を掛けながら、それでも淡い期待をして振り返った。
「…絵里さんに、ご迷惑を掛けないように気を付けなさい」
パシンッ
勢いよく閉めた引き戸に背中を当てて、涙を飲み込もうと上を向いた。
期待なんて、してはいけないんだ。
分かっていても、苦しいのはどうしようもない。
ミャア
可愛らしい声が足元からして、すりすりとふわふわの体を擦り付けてくる。
「モモ……慰めてくれるの?」
ふわふわの体を抱き締めると、あたたかい日だまりの匂いがした。
カサリと指先に何が触れた、涙を拭いながらモモの首輪に挟まれた紙を引き抜く。
誰?こんなことしたのは…